【外国人労働者政策】視点を変えて

 今回の記事は最近話題の外国人労働者政策に関してである。といってもよく話題に上る日本人労働者の雇用や賃金の問題ではなく敢えて向こう側(日本人また日本国ではない方)の立場に立ったものだ。

 我々は日本人労働者や日本社会の視点からのみこの問題を語りがちだが国家間格差の助長や外国人労働者への処遇の問題なども考えなくてはならない。

例えば、経済集積は日本国にとっては良い効果をもたらすが発展途上国には悪影響を及ぼす可能性が高く、技能実習制度はとても外国人労働者達にとって良い制度とはとても言えず劣悪な環境に悲鳴をあげる彼ら声が度々聞こえ、現代の奴隷制であると批判する意見もある。

 また更に、外国人労働者が受け入れ国出身の労働者と非完全代替である事による受け入れ国出身者の便益、つまり、外国人労働者達の地位が低い事により賃金、雇用機会ともに受け入れ国出身者が有利となる事、と治安の悪化を防ぐ為に外国人労働者達の生活の保証を政府がする事は矛盾する構造であり双方のバランスを政府が上手く調整しなくてはならない。

 

 私たちは自分の立場から問題を語る。それが身近な問題となればなおさらである。それ自体は悪い事でも無ければむしろ自らの立場を理解した主張というのは聡明ですらある。しかし、事実を正しく理解するためには異なる立場から物事を捉えることが必要なこともある。それは神の視座に立つことが出来ない人間には当然のことなのだ。

 

*文中に出てきた経済集積というワードについて軽く説明する

経済集積とは出稼ぎ労働者が居住地を出稼ぎ国に移し移民となった場合に先進国では需要の拡大による賃金上昇、発展途上国では供給規模の縮小から賃金低下に繋がり、経済が不釣り合いになり一極集中してしまう現象のこと。